2023年1月26・27日、日本海沿いの小樽から、真冬の北海道を横断して、370km離れたオホーツク海沿いの網走まで行ってきました。そこで前・後編に分けて、網走で訪れた場所のご紹介をします。
まずは、車で6時間かけて網走に到着し、最初に目に入ってきたのが網走湖です。
湖面が結氷して雪で覆われています。結氷期間は、氷上ワカサギ釣りが楽しめるそうです。
網走湖畔から「北海道立 北方民族博物館」へ向かいます。
閉館まで1時間なかったので、少し慌ただしい見学でした。この博物館では、北海道のアイヌに限らず、北半球の寒冷地に住むさまざまな民族の文化を広く展示しています。
ご紹介するのは、アラスカ最北端の海岸地域に暮らすイヌイト(イヌイットじゃないんですね)の竪穴住居です。冬のあいだ、長期間生活するためのベースキャンプとなる定住的な家で、寒さに対するさまざまな工夫がほどこされています。初めて知って、その知恵に驚きました。
住居全体は芝土で覆われ(その上に雪が積もる)、保温性が高められています。
住宅の出入口(玄関)は左側にあり、そこから地下通路を通って、右側の主室へ入ります。
貯蔵室と台所も掘り下げられた部分にあります。トンネルの支柱にはクジラの下あごの骨、台所の屋根にはクジラの肩甲骨が使われています。
主室全体は木でできていますが、樹木が生育しないツンドラでは、内陸の森林地帯から河川を下り、海岸近くに流れ着いた流木を集めて材料にするのだそうです。このジオラマの主室の広さは約5畳で、5人程が暮らせるそうです。
外の出入口(玄関)から地下通路を通り、床下から主室に入ります。こうすることで、低い位置にたまる冷気が主室に入らないようになるのだそうです。なるほどねー。
寝台は家の主人や年長者が休む場所です。
暖かい空気が外に漏れないよう採光用の天窓は小さいのですが、なんと材料はアザラシの腸。
左右の壁に、あかりと暖房の役目をはたす石ランプがあります。壁から吊るされている燃料のアザラシの脂肪が、床面の石ランプの熱で自然に溶け落ちてランプの皿に補充され、6~8時間燃え続けるのだそう。これで十分に主室を暖めるので、裸でも過ごすことができたらしいです。
展示をひと通り眺め、博物館の図録を購入してから、宿泊するホテルへ向かいました。
後編に続きます。https://anshin-otaru.com/2023/01/29/guide230129/