2023年2月9日(木)、札幌プリンスホテルを会場に開催された、アイヌ文化についての講演会と、アイヌ民族の伝統料理をアレンジしたレシピの試食会に参加しました。
まず第1部「アイヌ文化スキルアップ講座」は、アイヌの秋辺デボ氏の講演です。
3年半前(コロナ感染症流行前)、北海道に帰郷して間もない頃に一度、秋辺氏の講演を聞きました。そのときに、日本人とは?アイヌとは?民族とは?と問いかけられたことが深く印象に残っています。今回も冒頭でそのお話しがありました。
そして第2部「アイヌ伝統料理試作レシピ試食会」です。
今回のイベントは札幌の道央エリアのほか、道東、道北、道南で開催され、それぞれのエリアで異なったアイヌ伝統料理のアレンジメニューが提供されたそうです。道央エリアでのメニューは次の4品です。
「ユㇰのサヨ」 鹿肉(ユㇰ)の薄粥(サヨ)
「チポロシト」 いくら(チポロ)をトッピングした、じゃがいもの団子(シト) ベイクマッシュポテト
「エント茶のジュレ」 アイヌ語でエントという植物の葉や茎を煎じたお茶を使ったジュレ
「体験型オハウしゃぶしゃぶ」 漫画『ゴールデンカムイ』でもお馴染みアイヌの汁物オハウ
上は「ユㇰのサヨ」です。写真では野菜に隠れてしまいましたが、サヨ(薄粥)には、しっかりユㇰ(鹿肉)が載っていました。臭みや余分な脂身のない美味しい肉でした。ヒンナ。漫画『ゴールデンカムイ』では、鹿肉の鍋「ユㇰオハウ」が登場しています。
本来のサヨは、ひえや米で炊いた薄い粥で、主食ではなく、肉や魚などメイン料理でお腹を満たした後に「口直し」として茶のように啜られていたそうです。お椀の左の梅干しのような赤いものは、ハスカップの塩漬けです。まさに梅干しと同じ役割で、これをサヨに混ぜて塩気と酸味をプラスします。
上は「エント茶のジュレ」です。エントは「薙刀香薷(ナギナタコウジュ)」という植物で、風邪などに効果があるとされていたそうです。ジュレの下にはムースが隠れていて、ジュレとムースの二層構造になっていました。とても美味しかった。
参加者ごとに給仕された道央エリアメニューの4品以外に、ビュッフェ形式で道東、道北、道南エリアで供されたメニューを試食することもできました。
下は道北エリアメニューの「十五穀米のラムカレー」と「チポロポテトサラダ」です。
真面目にアンケートを記入していると時間がなくなってしまい、ビュッフェはあまり食べられず少し残念でしたが、たいへん満たされました。
第1部「アイヌ文化スキルアップ講座」の中で秋辺デボ氏が、次のように語っていました。
「あなたの文化」とシンクロさせる
・アイヌ民族ではないあなたが、観光客にアイヌ民族のことを発信してくれることはOK◎
・でも、迎合するのではなく、無理してでもファンになって。
・「あなたの文化」とアイヌ文化が共感できる部分を見つけて理解して。
少しゆっくり咀嚼して、自分なりに消化したいと思います。